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もっとして♡

第6章 マジメ姉ちゃん

「…何って何もないよ。変な事言わないで」

あたしは無理やり笑顔を張り付けた。

第一、メイクもバッチリなハズだから泣き腫らした後にも気づかないはず。

松「………俺、姉貴が化粧品会社に勤めてるからそーいう系詳しいし、自分で言うのも何ですけど結構上手いんですよ、メイク。」

「そうなんだ。」

だから?とでも言わんばかりに少し冷たく言ってしまった。

松「だから分かるんッスよ。彩さんが目元の泣き腫らした跡を一生懸命メイクで隠そうとした事とか」

そういい終わったと同時に歩くのを止めた松本くん。

自然とあたしも止まる。

「ッ……………何でも、無いわよ。松本くんの勘違いだよ。」

あたしは松本くんの方を見ずにそう答えた。

松「……さっき、卓が出てきたとき彩さん、体をこわばらせたッスよね。彩さんは無意識かもしれませんけど。」

「!?」

思わず振り返ってしまった。

うそ…

全然意識してなかった…。

松「……何があったんですか?」

あたしの目をじっと見つめてくる松本くん。

「ッ……」

あたしは耐えきれずに目をそらして俯いた。

松「……」

グイッ

二人に沈黙が流れ始めた時、突然手を引っ張られた。

顔を上げると松本くんがあたしの手を引っ張りながら何処かへ向かっている様子…。



……数分後……

あたしは松本くんに連れられ公園のベンチに座っていた。

松「………教えてくれないんですか?何があったのか…」

「………何もない。」

あたしはまた俯きながら答える。

松「…なら………メイク道具、今持ってます?」

「え?」

唐突な意外な質問に思わず顔をあげて聞き返してしまった。

松「メイク道具、今、持ってるか聞いたんです」

「持ってるけど……」

何でメイク道具??

と疑問に思いながら鞄からポーチを取り出して松本くんに渡した。

そうしたら、ポーチを開けて中から化粧道具を出しだした。

そして、スッとあたしの頬に触れてきた。

「えっ?何するの?」

当然、少しパニクるあたし。

松「目元の腫れをもう少し隠すんですよ。

俺、結構上手いってさっき言ったじゃないっすか!」

「え…」

まさかそんな返事が帰ってくるとは思ってなかったし、されるとも思ってなかった。

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