未成熟の成長
第1章 ナタリー
ナタリーさんは本当に怖い。
きっと心の中まで読めるのかも。
もしかしたら、今考えていることさえも。
「やっぱり、そうなんだ」
「気になってるっていったら、なんか、言い方おかしいよね。うん。八雲のことは好きなんだけど、いや、好きっていうのは友達の好きであって」
「落ち着いて」
「うん。いや、落ち着いてる。落ち着いてる。これ以上ないくらい」
静か。
家庭科室にナタリーさんと二人きり。
カラスが遠くで鳴いていた。
ナタリーさんは、不意に窓に目を向けた。
「嫌な予感がする。ゆかり、急いだ方がいい」
「え? な、何の話かな」
「勿論、八雲の話よ」