未成熟の成長
第2章 コンクリート
二日目<八雲>
「目を覚ましたみたいだな。すまんね。 手荒くて」
ここはどこだろう。
灰色の壁、無機質な空間、冷たい地面。
立ち上がろうとして、手足が縛られていることに気付いた。
「さっさとこの縄をほどくがよい。八雲にこんなことをしたら、婆やが黙ってないのだ」
陣内はにやりと笑う。
マスクを取るとさらに気味が悪い顔をしていた。
「俺に警告なんてものは無駄だ。失うものなんて何もないからな。それに、漆原のご老体のことなら問題ない。手は打ってある」
漆原、確か婆やの旧姓はそれだったのではないか。
ならば、この陣内とかいう男、我らの親族に恨みを持つものか何かである。
「楽しもうか、八雲ちゃん。詳しい話はおいおいしていくさ」