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未成熟の成長

第2章 コンクリート


黒い手が近づいてくる。

逃げる場所はどこにもない。

陣内は私の口に指を入れてきた。


「噛んだら、駄目だからな」

「あふぇ、あ……」


苦いような、しょっぱいような気持ち悪い味。

吐きそうになるのを必死に堪える。

ようやく解放された瞬間、陣内は口にむしゃぶりついてきた。


「んっ……やめ……むぁあ」


じゅるっと音を立てる生暖かい舌。

口の中を這いずり回って、私の五感をおかしくする。

腕に力が入って、全身が弛緩する。

早く、早く終わって。

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