未成熟の成長
第2章 コンクリート
「旧漆原財閥を知っているということは、やはりお前も関係者なんだな」
少女はアイスティーから口を離すと、演技じみて笑う。
「そう。一応、部外者ではない」
「今回の仕事の話は聞いてるよな。あのおかたにとって、お前はどんな存在なんだ?」
「親戚、ということでいい。深くは言えない」
「親戚ねぇ」
まず、国が違うだろう。
だが、養子縁組の可能性もあるのか。
やはりこいつ、掴めないな。
「あのおかたの目を、どのくらい離すことが出来る? 依頼では一週間と言われていたが、多目に見ておいた方がいいと思う」
「そうね。一ヶ月くらい、できる」
「そのくらいあれば十分だな」
カフェテリアは徐々に人が増えてきた。
講義が終わったのだろう。
俺は煙草に火をつけ、考える。