未成熟の推察
第1章 ミク
別室に移った二人は18台のモニターの前に立っていた。
そのうちの一つをキーボードに繋ぎ、黒木は様々な暗号を打ち込む。
真っ青だった画面はやがて四分割され、ジャンキーパーティーの店の中を映し出した。
「暗視も開発していたとはな。流石は黒木だ」
「造作ない。それより、マダムだな。今日は、いない、らしい。奴が来るのは、週に二回、だ」
「調べる手間が省けるのはいいことだ。黒木、お前の性癖は言及しないことにする」
「画面、消しても、いいんだぞ」
「冗談だ」
店内には老若男女が入り乱れ、ダンスとも何とも言えない動きを繰り返していた。
狂気の沙汰だと匠は感じた。
知性ある人間の諸行には思えなかったからだ。
隣でモニターを見る黒木は、とある人物を見つけて匠の肩を叩く。
「この、左端にいる、女って」
「ああ、間違いない」