未成熟の推察
第1章 ミク
長い付き合いがある匠と黒木は、無駄なことはしない主義だった。
見過ごすのもまた、ショートカットなのだ。
「他の二人には心当たりはないんだな」
「ない」
「このカメラはいつ動かせるんだ?」
「深夜から、明け方、だけだ。それ以外は、警察が、動く。奴らも、ただの、馬鹿じゃない」
「なるほど」
ジャンキーパーティーには一度訪れる必要がありそうだった。
何の手がかりもない二人より、週に二回は来ると云う女の方が遭遇率は高い。
それに少女を拐うのは気が引けるし、雪男に勝負を挑むのもカルツアイだ。
消去法により、彼等はマダムを狙うことにした。
「俺は、金は、いらない。欲しいのは、分かっている、はずだ」
「よく分かってるさ。金では買えないあれだろ? 仕事が終わり次第手配するさ」
「頼む」
黒木はサスカフェの三杯目を注ごうとして、お湯がないことに気づく。
「ちょっと、給湯室に、いって、くるよ」
「ああ」
匠は煙草に火をつけ、ここまでの流れを整理することにした。