未成熟の推察
第1章 ミク
「200万か。危険度はGってとこだな」
匠は200万を銀行に振込、さらにそこから5万をおろした。
銀行から出てそのまま公園へと向かう。
目的は勿論、あのホームレスだ。
あいつが何も知らないはずはない。
津田さんがあの場所にいると知っていて、わざと俺を向かわせたんだ。
殺すくらいじゃ済まされないぞ。
「おう、わけぇの」
「お前、何者なんだ」
「わしか、わしは只のゴミだよ。そこらに転がる吸い殻と変わりゃあせん」
「そうか。ゴミはゴミ箱に捨てなきゃな」
言い終わる前に、匠は突進していた。
右手に仕込んだナイフをギリギリまで隠し、老人の頸動脈を狙う。
老人はへへっと笑うと身を屈めて一閃をかわし、匠の足を払って転倒させた。
匠には何が起きたのか一瞬分からなかった。
老人はさらに近くにある細目の杖を手に取り、匠の首筋に添える。
「わけぇの、血の気が多いな。カルシウム足りてるかぁ?」
「くそっ。どいつもこいつも馬鹿にしやがって」
匠は胸からB23Rを取り出すと、躊躇いもなく引金を引いた。
深夜の公園を烏が舞う。