テキストサイズ

えっちな文藝部の活動報告書

第5章 官能小説の芸術性

「えっちとは芸術のひとつのかたちよ、如月君」

「近親相姦は禁忌のひとつのかたちですけどね」

「それに官能小説というのは特別なえろなの。わかる如月君」

また野路菊の暴走が始まった、みずほはそんな表情を浮かべながら横目で野路菊を白眼視している。

「人間には五感ってあるわよね、如月君。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、そして触角」

「はぁ」

「このうちえっちに一番関連が薄いのが間違いなく味覚ね。『えっち味』なんてホテトチップスもラーメンもないわ」

しょうもない発言は無視して無言で話の先を促す。

「次は嗅覚ね。まあこれは一旦置いといて、その次は視覚か聴覚か。私的には視覚の方が下かな。えっちなDVDも音がなければ萌えないもの」

「確かに。特に女性はそうかもしれませんね。男は視覚の方が強そうだけど……」

まずい……
徐々に野路菊先輩のペースに嵌まり始めている。

「えっちな声を聞いちゃうと、なんかこう、興奮しちゃいますよね。でもなんと言っても一番えっちに直結するのは触角。これは覆しようもなく、最強でしょうね。やっぱり体を触られるのが一番直接的にえっちだから」

「そりゃまあ、そうでしょうね」

どうでもいい話だが、異論はない。
俺は相槌を打つ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ