えっちな文藝部の活動報告書
第5章 官能小説の芸術性
「つまりは官能小説とは脳が感じるえっちと言えるわ。
そもそもえっちな興奮をするかしないは脳が判断すること。だとすれば、官能小説はまさに直接脳に響く最強のエロコンテンツというわけなのよ」
「……はぁ」
「特に女性は視覚や聴覚に頼るエロスにはあまり興味を示さない傾向にあるわ。
五感の中では嗅覚が一番想像によるとこが大きいエロスね。
嗅覚に頼る『クンクナー』が女性に多いのも頷けるわ」
「……クンクナーってそんな一般的学術用語みたいに使う言葉じゃないと思いますよ?」
「つまりは官能小説とは知的なエロスであり、しかも直接脳にアクセスする。その刺激は視覚や聴覚にも勝るといって過言ではないの。
究極のエロ小説とは読んでいると世界に没頭して、まるで体が弄られ、嬲られているような感覚に陥るはずよ。触覚を錯覚してしまうということね。脳が弄られてるかの錯覚を呼び覚ますから、実際は触られてないのに触れられた気分になる。
結果として読者は自分で体を触り、苛めてしまう。この上ない催淫効果をもたらしてしまうの」
野路菊部長の演説は次第に熱を帯びる。
「しかし官能小説はその割に芸術的進化はあまり遂げておらず、かといってエロ文明においても飛躍的成長はしていない。
五感に頼っていない官能小説こそ人間らしいエロスの世界だし、芸術的昇華の可能性を秘め、産業的にも発展の余地を充分に残した分野だと私は思うの」
素敵な詩を朗読したあとのようなうっとりした表情で先輩は締め括った。
そもそもえっちな興奮をするかしないは脳が判断すること。だとすれば、官能小説はまさに直接脳に響く最強のエロコンテンツというわけなのよ」
「……はぁ」
「特に女性は視覚や聴覚に頼るエロスにはあまり興味を示さない傾向にあるわ。
五感の中では嗅覚が一番想像によるとこが大きいエロスね。
嗅覚に頼る『クンクナー』が女性に多いのも頷けるわ」
「……クンクナーってそんな一般的学術用語みたいに使う言葉じゃないと思いますよ?」
「つまりは官能小説とは知的なエロスであり、しかも直接脳にアクセスする。その刺激は視覚や聴覚にも勝るといって過言ではないの。
究極のエロ小説とは読んでいると世界に没頭して、まるで体が弄られ、嬲られているような感覚に陥るはずよ。触覚を錯覚してしまうということね。脳が弄られてるかの錯覚を呼び覚ますから、実際は触られてないのに触れられた気分になる。
結果として読者は自分で体を触り、苛めてしまう。この上ない催淫効果をもたらしてしまうの」
野路菊部長の演説は次第に熱を帯びる。
「しかし官能小説はその割に芸術的進化はあまり遂げておらず、かといってエロ文明においても飛躍的成長はしていない。
五感に頼っていない官能小説こそ人間らしいエロスの世界だし、芸術的昇華の可能性を秘め、産業的にも発展の余地を充分に残した分野だと私は思うの」
素敵な詩を朗読したあとのようなうっとりした表情で先輩は締め括った。