
ふた恋
第8章 終わりの日
「ひかり‥‥」
「友くん‥いつも通りだよね?‥あたしのことも愛して?」
ひかりの瞳からは止めどなく涙が溢れてきていた。
ハサミを持つ手も震えていて、足だって微かに震えている。
立つのも精一杯なはず‥
‥俺はひかりを抱きしめた。
「‥友くん‥」
「ひかり‥死んだらだめだ‥ハサミ‥離せよ」
「‥友くん、いなくならない?あたしの側にもいてくれる?」
杏里に隠す為には、ひかりとの関係を続けなければならないのか‥
杏里を守る為
そう自分に言い聞かせた。
やっぱり俺はずるい
そんなことを言い聞かせたって、言い訳にしかならないのに。
