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涙腺が弱いのは認める。

けどなんで今…


「ミカ先輩」

「きゃ！！」



ひんやりとした感触を手に感じ
思わず悲鳴をあげてしまった。

…なんで



「大丈夫じゃないでしょ？」



次朗君、なんで追いかけてくるの？


「わわ　ここで泣くの？！」

涙がだらしなく零れる。
それに対して慌てる次朗君。

…ごめん。

なんとなく見渡すと
廊下にいる人達が一斉に見てる。

げ


私は手の甲で涙を拭った。

「ごめんなさい
　本当に大丈夫だから
　…あの　離して」

次朗君の手は、まだ私の右手を
包み込んだままだった。
何故だろう…
その手に体温を感じない。


「…泣きそうな顔してたから」

次朗君の表情が曇った。

「何か、力になれるなら…」


会ったばかりなのに優しいんだね…


なんかますます心苦しい。


「前にも会ったこと、ある？」

勇気を出して聞いてみた。
何かしてしまったのなら
今すぐにでも謝りたいよ。

この苦しさから解放されたい。



「…」


次朗君が俯く。

…やっぱり　何か…


「君に　ミカ先輩に会ったのは
　今日が初めてだよ」


「本当に？
　私、前に次朗君に対して、
　何か酷いことしなかった？」

「え」

次朗君が驚いた表情をした。

「ないない。
　俺が君にしたとしても
　君が俺に何かするなんて事はないよ」

「…次朗君が私に？」

「今日が初めてなのは事実だよ。」

次郎君がふわりと微笑む。




今日が初めて



…そっか。


私達、本当に初めて会ったんだ。