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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「あー…有り得る」

次朗さんも眉元を歪めた。

「今時の女子高生だからね。
 浮いた気持ちの一つなんて
 当然のようにあるかもね。」

「だったら尚更難しいじゃないですか」

「まぁ…決まったわけじゃないから。
 兄さん?大丈夫??」

隠土先生が頭を抱えている。
あー…考えたくないよなぁ。
好きな女の子に、
自分以外に好きな男がいるとか

気持ち分かる…。

「大丈夫だ…ま、そんなもんだろ」

隠土先生の視線がどこか遠くを走る。
自分の気持ち、押し込めたか?

隠土先生は、
かつてハルシオだった時に抱いた
月子を好きだという気持ちを
現在そのまま、
月子の生まれ変わりである神鳥に
抱いているのだ。

要約すれば…
隠土先生は神鳥の事が好き。

神鳥は…?

というよりも、そもそも
月子はどうだったのだろう。
実はハッキリとはしていない。
気持ちを伝え合ったわけではないのだ。



俺の脳裏に刻まれた
あの時、土守が見た二人の姿は

お互いを想い合う男女そのものだった。

相思相愛

あの場にいた全員がそう思った。
だからこそ、転生させてまで
二人の思いを成就させたかったのだ。

悲しい運命に翻弄され、
結ばれる事なく最期を迎えた二人に
今度こそ、幸せになって欲しかった。

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