テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「リョウちゃん  
 ケータイの連絡先教えてっ!
 っていうか使い方教えてっ!!

 おはよ ミカ先輩」

「お おはよ…
 昨日はありがとう」

リョウ君に用があったんだ。


「これ、兄さんに持たされちゃった。
 けど使い方が
 さっぱり分かんないんだよね。」

携帯?使い方??
昨日、電話かけてたよね。
…この機種

「あ お婆ちゃんのと一緒だ…
 簡単なやつ…」

今時の高校生が普通持たない
“楽々携帯”だ。
え、なに ウケ狙い?

「だったらミカの方が
 分かるんじゃね?」

え リョウ君?
それってお膳立て?
…ってヤダ私、何
変な期待しちゃってるんだろ

「え 分かるかな…」

「えぇっ!次朗君ケータイ持ってるぅ
 連絡先交換しよ!」

エミが勢いよく教室に入ってきて
真っ直ぐ次朗くんの側に駆け寄った。

「何々?使い方分かんないの?
 教えてあげるぅ 見せて!」

エミの甘ったるい声が
なんだか聞くに耐えなくて
しかも遠慮なく次朗くんに
接近する姿を視界から外したくて

「ミカ!お前いいのかよ」

「なにが?別にいいんじゃない?」


リョウ君が気を使ってくれたのは
分かったかけど、
私は教室を出ることにした。

そもそも
私が次朗くんと
お近づきになったところで
今は優司くんとの事もあって
益々辛くなるだけだし…。

何より

会ったばかりの次朗くんにまで、
変な迷惑をかけるわけにはいかない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ