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「再会」と呼べる「出会い」

第16章 それは襲い来るもの

「恋人ごっこ
 もう必要ないか 残念」

次朗君が苦笑した。

「私は清々するな」

私は悪戯っぽく言った。


「…けどさ 一応体裁ってものがあるし」





は?






「んなの
 どうでもいいよ
 お互いプラスもマイナスもないじゃん」


「だって
 兄さんと大っぴらには
 無理でしょ?」





…あ   


確かに





今 は
ハルシオは隠土先生なのだ。

そして私は生徒。


…ゾクリ






「バレたらどうなるか
 分かるよね?」


次朗君の表情が真剣で、
私は益々固まってしまった。



「カモフラージュ
 だと思ってよ」

「だ ったら
 ミカ先輩はどうすんのよ?!」

「彼女は分かってくれるよ」

「だとしても
 …だったら他の人でも!」

「君は俺を好きにはならないけど
 俺も君をそういう風には見ないから
 他じゃ無理だよ
 カモフラージュにはならない」



…  そ   そうか!




「でも!やっぱり駄目だよ」


納得しちゃ駄目だ!!





私は携帯を鞄から出し、
電話帳を開いた。
そこからミカ先輩を探し

発信



「…もしもし
 ミカ先輩?」


「え」



「ミカ先輩はミズカだよね?」


月子だった頃の記憶が蘇った私は
同時に彼女の存在を思い出した。
彼女との記憶も…。


「ちょっと…!」


次朗君が戸惑った。






「記憶 戻ったよ」


『じゃあ じゃあ 
 月ちゃんなの…?』


電話の向こう、
ミカ先輩の声に涙が混ざる。











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