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「再会」と呼べる「出会い」

第16章 それは襲い来るもの

二人も幸せになって欲しい。
昔も今もそう思ってる。

夢の中の二人のように。



「じゃ また明日ね
 詳しいことは次朗君に聞いて」




私はそう伝えて電話を切った。

あとは二人でどうぞ。





「…はぁ
 相変わらず
 だよね こういうところ」

「こういうの
 ちゃんとしたいの
 大体なんで溜め息なんか出るのよ?
 アンタもミズカ…ミカ先輩の事
 好きなんでしょ?」


「…」




…なぜだまる?




「好き    …だからこそ
 ってことあるじゃない?」






なぜ
そんな切ない表情になる?





私達はさっきの土手に出た。
街灯が照らす、
エレミムと私のせいで
崩壊していた土手はやはり
綺麗になっていた。


あ そう言えば…
お父さんはどこに行ったんだろ…



「ドラおじさんなら
 濁天にいると思うよ」


本当に
コイツは心の中が
読めるんじゃないだろうかと思う。


「だくてん?  
 …あれ?
 聞いたことあるなぁ」

「君の今のお父さんもよく来てるよ
 行ってみる?」

「あー!そうだ!
 喫茶店だ!!」







軽食・喫茶『濁天』


学校と家の丁度中間。
だけどその道を通るのは初めてだった。



「こんな所があったなんて
 知らなかったな
 小学生の時から
 この町に住んでいたけど」

「誰でも何時でも
 入れる場所ではないからね」

「ふーん」



なるほどね

だけどうちのお父さんは入れたのよね?
今の両親は普通の人間だよ。
私のお父さんだから?





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