
「再会」と呼べる「出会い」
第19章 廃墟と花嫁
微睡んでいた。
『お母さん
お父さんは
どこに行ったの?
釣りに行く
約束してたのに…』
「お父さんは
大事なご用が出来たの
大丈夫ちゃんと
帰って来るから」
ちゃんと帰ってくるから
子供に言いながら
自分に言い聞かせていた。
『僕との約束より
大事なことなの?』
「ルカの事を…
未来を守るためなのよ
分かってね」
『僕?
僕何も危ないことなんて
ないよ
未来って 何?』
未来
未来に
何が待っているのか
二つの墓標は
寄り添うように
並んでいた。
磨き、花を添える。
刻まれる名前に
指をあてれば
自然と涙が零れる。
『お母さんは
いつもこの人達に
何をお話しているの?』
「未来で
幸せになれますように
…それと
ルカは今日も元気です
って話してるのよ」
『…未来
未来にこの人達はいるの?
僕会えるかな』
「そうね会えるといいわね」
それは丁度
百年後の未来
そこに私はいない
「ただいま」
『お帰りなさい!!』
「お帰りなさい
見つかった?」
「うん …さて
釣りに行く約束
だったね」
『やった!
ちゃんと覚えてて
くれたんだ!』
「覚えてるよ
…とその前に」
また
なんて訪れないと
思っていた。
まさか
死んで百年も経たずに
再会出来るなんて
