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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

彼と別れたのは
私が丁度
60歳になる前の日だった。

私は流行病を患っていた。


カラスさんは
ハルシオさんが
亡くなった時
水守の長としての力を
継承していたけど、
治癒の力を
継承する事が出来なかった。

カラスさんは
それを常々悔やんでいた。


「あなたには
 あなただけの
 力があるじゃない」

「けどこういう時
 ホント役立たずでしょ
 ごめんね…ミズカ」



私にはこの腕があれば
それだけで十分だった。
一緒にいれば
それだけで幸せだった。


移る病気だったけど
カラスさんは
一時も私の側を
離れなかった。



私の手を
その冷たい手で
握ってくれていた。




「もし
 生まれ変わる事が
 出来たら」

「うん」

「また…一緒に
 なりたい…」

「そうだね」

「真っ直ぐ
 …あなたのところに
 いくから…」





「…ミズカ」







私の記憶は
その約束から途切れている。







結局
約束は守れなかったけど

















「そろそろ起きなさい」










「…っ!!」





「起きろ」





  ド  サッ









頭頂部が痛い。
打ち付けられた
お尻も痛い。



一体 何が
…何だか




私はゆっくり目を開けた。


「…」





そこには足があった。

白いエナメル?
細かな刺繍と
宝石が散りばめられている。
趣味がいいとは
お世辞でも言えない。


校門の前で会った
あの変な人の足だ。




私は起き上がった。

あちこち痛い。


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