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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「だーイジョウブ」


ポンポン

頭を叩く手が
不快で仕方ない。



「死んだってまだ
 代わりは
 腐るほどいるのだから
 別のモノに
 呼び出してもらえばイイ」

「…」






零れる涙が
優司君の頬に落ちる。





「今から泣いてちゃ
 涙がもったいない
 後からもっともーっと
 泣いてもらうんだから」





私は
優司君の肩に手を置いた。





こうしたところで、
隠土先生のように
ケガや病気を
治せるわけじゃない。

次朗君のように
氷を操れるわけでもない。



「おやおやおや
 これはこれは…」




けど

私の魂は 水守
















手の平が濡れるのを感じた。


皮膚を通して
それは
優司君に染みこむ。





…これでいい

私に出来る唯一のこと




「…う」




優司君の身体が
動きだす。
ゆっくりと
頭が持ち上がる。


「フゥ 
 素晴らしいイ…」


「あれ 俺…」


優司君が
起き上がった。



「っ!! いって!!」


後頭部を抑える。



「… ミカ」

「ごめんなさい
 怪我は治せないの…」


「じゅーぶんです!
 じゅーーぶん!!!
 コレコレ!!

 やっと見ることが出来た!」



ハクアの興奮した声が
耳障りで仕方なかった。


別に
アンタに見せるつもりで
やったんじゃない。



私はハクアを睨んだ。



「これが
 欲しかったんだよ」



   ド ク ッ







 もしかして





「これこれ
 フヒャヒャヒャヒャ…!」




「なんだ…?
 なんで笑ってるんだ?」








「さぁ
 アタシのものになるのだぁ!」






私はどうやらまた
やってしまったようだ。

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