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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

  ガ  バ  !!!



「っあぁああああああ!!!」


ハクアが
優司君に向かって飛び込んだ。

そのまま
ぶつかるのではなく、
身体が
優司君に吸い込まれる。




手を出す隙もない、
一瞬の事だった。





「さーて
 始めるか ミカ」



煩わしいと
足のギブスをはずしながら
優司君が立ち上がる。


いや

優司君じゃない。






私は後ずさりした。


逃げられないのは
分かっていたけど

このまま捕まるのは


「絶対イヤ!!!」









私は走った

纏わり付くヴェールは
剥ぎ取り、投げ捨てた。

こんな物いらない…!

木のドアを叩き開ける。
ノブの意味なんて
殆ど無いほど朽ちていた。


部屋を出ると
細い廊下が続いていた。

クモの巣、ホコリ、蔦


どっちがどっちだか
分からないけどただ走る。


ドレスの裾が
まとわりついて鬱陶しい。


履かされたヒールも
馴れないから
走りづらいこと
この上ない。



「ハァ ハァ …」


でも
逃げなきゃ

逃げなきゃ!!






でも 


「…?」


後を追ってくる
気配はなかった。



あれ?




恐る恐る振り返る。

鏡の向こうのような
同じ廊下が続くだけで、
何者の存在もない。





…あれ?



でもこれって
今の内だって事だよね




私はとにかく前進した。




目指すのは出口、
もしくはさっき
着替えをした部屋

制服のポケットに
携帯が入っている。

連絡出来れば…



「ハァ ハァ…」



本当に同じ廊下ばかり


崩れかけた壁
蔦で覆われて
光が僅かしか届かない窓

絡みつくクモの巣
ホコリ…




「ハァ…」


自分の息使いだけが
耳に入る。

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