テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

「… いるって思ってた」

思ってたって事は…

俺が聞いた話では、在学中は
井崎の周りには常に誰かがいて、
賑やかな輪の中心だったと。


「なーんかさ
よくわかんねーよ」

吹っ切るように
井崎は顔をあげた。

「一緒に遊んではいたけど
対等じゃなかった
同い年でもな
金を出すのは当然のように 俺」

口元では笑いながら、
目は悲しげだ。

「ダッセー姿も見せらんねーしさ」

「…なる程ね」

次朗は
何かを思うように視線を落とした。

「 弱みを見せるのが嫌だったんだよな
そんなキャラにはなれなかった
常に笑って 見下して
俺がみんなを引っ張る…って」


お山の大将 …ってことか。


「そんな事してたら
自然と色々溜め込んじゃうよね」

「だな」

同意。
ハクアに取り憑くかれる弱さを
井崎はもっていた。
自分が作り上げたキャラクターに
押し潰される事が
あったんじゃないだろうか。


「…」

「たまには吐き出さないと
どこかでおかしな事を
するようになる
君はその典型だったね」

「…認める

つーかなんだよ
俺はなんで
お前らの前でこんな話

初対面なのにな」

井崎がカウンターに突っ伏す。
我に返って恥ずかしくなったのか
耳が少し赤い。


「友達になろうよ」






「…」



井崎は顔をあげ次朗を見た。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ