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見上げた空は
吸い込まれるんじゃないかって位
青が遠くまで続いている。



ﾋﾟｰｰｰｰｰｰ


キックオフのホイッスルが
俺の意識をを地表に戻す。



サッカーをしている時、
俺の心は唯一正直で、清らかだった。
あらゆる迷いを捨てて、
１つの球に集中することが
自分を保つ事にもなっていた
…そんな気がする。

仲間とも
そこでは平等だった。

大企業財閥の御曹司
そんなレッテルも、
どこかへ吹き飛んでいった。


サッカーで認められれば
俺は自分の足で立つことが出来る、
そう信じていた。
あの化け物みたいな"家"から解放されると。

しかし残念ながら
その思いは呆気なく打ち砕かれる。


「お前には
　将来この会社を背負うという
　大きな役目がある
　誇りに思うべきだ」

突然現れた実の父を名乗る男が
偉そうに俺の頭を押さえ付けた。

俺の父親は優しかったあの人だけだ。
こんな上からしか
他人を見ることが出来ない人間を
俺は父親だと信じたくない。


「優司
あのチームには断っておいたぞ
今後お前には
道楽に費やす暇は無くなるからな」

「優司 本当にごめんね」

母の表情が切なく歪む。

母の入院が長引いている理由を
俺は何となく想像出来た。
元々丈夫な人ではなかったが、
父の死後、
ますます調子が悪くなったように思う。

亡くなった育ての父も、母も
サッカーをする俺を
誰よりも応援してくれてた。

そんな母の大病が分かったのは
皮肉にもミカに嘘だと分かった後だった。

母親が病気は嘘ではなく
事実になってしまった。

バチが当たったんだよな。
最悪だわ、俺。