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「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

「牛乳が飲みたい」


金髪ウエーブ、睫毛の長いタレ目。
10歳位かな…人間だと。

エレミムはボツリと一言
そう言うとまた黙った。

「はいはい
 あっためる?
 冷たいままで大丈夫かな?」

マスターが優しく聞く。
私なら冷たいまんま出しちゃうけど。

「アゼットはあっためてくれた」

何事かと思うよね。
実は和解出来たエレミ厶を
連れて帰って来たのだ。
エレミ厶はハクアに改造される前の、
元の子どもの姿に戻っていた。

人類を滅亡させようとしていたエレミムと
どうして和解出来たのか、
それはまた別のお話になるんだけど
…今回については
ハクアにそそのかされた、
というのが最も当てはまる。

そのハクアは次朗君が倒した。

ミカ先輩の記憶を消した次朗君は
魔力が完全ではなかったにも関わらず
傷つきながらも最後まで強かった。
ハクアへの怨念が動力になってたっぽい。
よっぽど許せないことをされたようだ。


『戦い』を終え、
隠土先生に傷を癒してもらった私達は
濁天で隠土先生が作ってくれた
朝ごはんを食べていた。

朝から先生のご飯が食べられるなんて
幸せ過ぎるよ!
結婚したらこれが毎日なのかなぁ
…なんて気が早いっ!!


私は隠土先生を見た。
先生も私を見てにっこり微笑んでくれる。

「エレミ厶
 隠土先生をめっちゃ睨んでる」
「恋敵ですからね
 にしても露骨」

「ハハ」

隠土先生が苦笑いしてる。

「ちょっとエレミム!」

「仕方ないよ
 月ちゃんにぞっこんなんだから」

次朗君がニヤリと笑った。

次朗君は因縁の相手ハクアとの戦闘の末
翼を片方失った。
帰ってきた時に隠土先生が
傷を癒してくれたから
今こうして元気になれたけど、
無くした翼は元には戻らないらしい。


なんとなく、完全復活でないようだ。
やっぱりここはミカ先輩に
癒してもらうのが一番かな。

でも

「無事に帰ってきたんだ
 記憶戻してやれるんでしょ?」

香田先輩が次朗君に尋ねた。

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