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「再会」と呼べる「出会い」

第3章 再会日和

「林田先生が
 高校と大学の時の先輩で、
 野球部に差し入れしてくれ
 って頼まれたんだ」

「そうだったんですか!
 あれ…もしかして
 これからおにぎりも?」

「そう」

台の上に炊飯器とノリと梅干しと鮭。

「私、お手伝いします。
 他の子達ももうすぐ来ると思うので」

「悪いな。
 何か予定があったんじゃないのか?」

「歓迎会での部活紹介と
 体験入部についての
 相談をしようかと。
 終わってからでも大丈夫ですよ」

「そうか
 …じゃ、急いでやっちゃうか。」


隠土先生は凄く手際が良かった。
同じ大きさのおにぎりが
どんどん出来ていく。

「先生、早いですね。
 それにキレイ!」

「高校で野球部の時散々やってたから。
 マネージャーいなくてさ
 俺、補欠だったから
 飯炊きとか洗濯、やってたんだ。」

「そうだったんですか」

なんか

お母さん!  だ。

とは言え

私、勝手に“オネエ”かも
…なんて疑ってたけど、
そういう感じともまた違う。
言葉遣いも動作も…

「佐伯さん上手いなぁ。
 手馴れてる感じがする。
 弁当も自分で作ってきてる?」

「はい
 子供の頃から
 お料理するのが好きで…」

「お母さんの手伝いも
 よくやってるんだ?」

「はい」

「いいなぁ。
 そうやって手伝いをしながら
 家事を覚えていくのが
 一番良いんだよな

 今の時代は両親が共働きだったりで
 なかなかそういうのは
 難しくなってる、なんて言うけど…」

隠土先生の表情が
少しだけ悲しそうに見えた。



少し重くなった空気を打ち破るように

「お疲れ様でぇす!」

元気な声で、エミが入ってきた。

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