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悪魔と天使

第1章 編入


走って外に出た時に俺は変装をしていないことに気づいた。
これはヤバイ。



「俺、戻る。」



そう言い残し、寮へと戻った。
幸い出るときも戻る時も誰にもすれちがわなかったし、見られることもなかった。



無事たどり着いた俺は急いで変装し、部屋を出たその時だった。



「どこに行くんですか?」



そこに居たのは副会長だった。



「.....いえ、ちょっと。」



俺は何か理由をつけて逃げようと考えたがあっさり阻止された。



「衣装合わせをしてからにしてくれますか?衣装合わせより大切なものはありませんから((ニコッ」
「.......は、い。」



この黒い笑みには誰も逆らえないだろう。
もし逆らえる人がいれば神だな。
そのくらい副会長の黒い笑みは怖いものである。
背筋がゾッとするくらいに。



「それより、中西君が居ませんでしたが、知りませんか?」
「いえ。」
「そうですか。残念です。」



残念そうにはみえないぞ。
俺は怒っているように見える。



「はぁ、しかも如月先輩も居ませんし。」



独り言のようだ。
まぁ春が居ないのは当たり前だろうな、悠と逃げたし。
俺を置いてな。



悠を庇った俺が馬鹿みたいじゃん。
庇う必要あったか?
ないな。




もうここはトイレ作戦で逃げるか。


                         

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