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「だって、冗談でしょ?」

第4章 「あのカフェに行けば、彼女に会える」

「大丈夫?」

心配そうに尋ねながら、オムライスの皿を子供の前に置く女性アルバイト。

子供は不機嫌そうな顔のまま、皿を払い落とそうとする。
女性アルバイトはそれを直前で受け止め、困った表情をしている。



それが、紗和さんを初めて認識した瞬間だった。



「いらない!」

子供はスプーンを紗和さんに投げつける。
慌てて父親が止めに入るが、子供は腕をバタバタさせ、それを拒絶する。

「いらない!ママのオムライスがいい!」

泣き始める子供に、父親もウンザリした顔になる。

「そんなこと言ったって、もうママはいないんだ!仕方が無いだろう!」

その言葉に、子供の泣き声がさらに大きくなる。

「…すいません」

そう言って子供の手をつかみ、店を出ようとする父親を紗和さんが引き止める。

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