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「だって、冗談でしょ?」

第4章 「あのカフェに行けば、彼女に会える」

「待ってください」

そして、紗和さんは子供と向き合う。

「ねぇ、このオムライス、一口でいいから食べてみて?」

嫌がる子供だったが、紗和さんの表情を見てしぶしぶ一口食べる。

途端に驚いた顔になる。

「…おいしい」

「でしょ?」

紗和さんはニッコリ笑う。

「ママのオムライスには勝てないかもしれないけど、負けないくらい愛がこもってるんだよ」

言ったあとで、恥ずかしそうに頬を染める。

その瞬間、俺は『好きだ』と思った。

自分の言ったことがキザすぎて照れるとか、可愛すぎる…

可愛い…

可愛いな…

「おい、杉村」

中岡の声で我に返る。

「んあ?」

「お前、お母さん何かあったのか…?」

意味のわからない質問にきょとんとなる。

「は?なにが?」

「いや、お前…あの子供のことずっと見てるから、共感っつうか、なんか思うことがあったのかと…」

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