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「だって、冗談でしょ?」

第4章 「あのカフェに行けば、彼女に会える」

それから俺たちは何度かそのカフェを訪れるようになった。

彼女が平日の夕方から夜にかけてシフトに入っていること、

そしてその店で働く男と付き合っていることも知った。


大学が同じことは、たまたま食堂で姿を見かけて知った。

同じ授業を取っていることも、席を探して教室を見渡していたときに知った。

山代紗和という名前は、ノートに書かれた名前を盗み見た。





どれも偶然知ったことではあったけど、自分がストーカーをしているようで少し気分が悪かった。

でも、好きな女の子のことは少しでも多く知りたい。

まだ誰も知らない、彼女の姿が知りたい…。



授業で関わることはないし、唯一自然に会えるのはカフェだけ。

あそこに行けば、彼女に会える。

俺は、あの日からほぼ毎日あのカフェで自習をしている。


そんなある日、客が減ったタイミングで、紗和さんと他のアルバイトが私語をしているのが聞こえてきた。

どうやら紗和さんは彼氏と別れたらしい。

「○○ちゃんには協力してもらったから、一言言っておかなきゃと思って…」

申し訳なさそうに言う紗和さんに、相手は慰めの言葉をかける。

チャンスだ、と思った。

俺は時計の針を見る。

17:45。

俺はそこから先の行動を頭に描く。

大丈夫。

女の人の落とし方なら、知ってる。。。

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