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「だって、冗談でしょ?」

第2章 「大きくなったら絶対イケメンになるよ」

ふわふわとした髪の毛は、一本一本が細くて、なめらかなツヤが出ている。

伏せられた大きめな目は静かに瞬くし、まつ毛も...私より長い...!

ノートを掴む指先は華奢で、重いものを持ったらすぐに折れちゃいそう。

...皿やコップを大量に運ぶことで鍛えられた自分の指が憎い...

「あ、ありがとうございます...」

遠慮がちに見上げてきた真っ黒な瞳は、私の瞳を捉えた瞬間逸らされてしまった。

あぁ...。

「それでは、ごゆっくりお過ごしください!」

そう言って去ろうとすると、ガシッと腕を掴まれた。

「あ、あの...!」

今度はきちんと瞳を合わせて、男の子はまっすぐ私を見上げてくる。

何この子...これ絶対将来イケメンになるよ...!
こんな弟いたら...とりあえず女装からさせてみようか。

胸の中ではそんなことを考えながら、爽やかな笑顔を向ける。

「はい、なんでしょうか?」

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