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情報無双と無双くん

第1章 #1

ベンチで定期と財布を確認して、ケータイの電源を入れる。
暇つぶしの音ゲーをして、電車がくるまでの時間を潰す。

短い曲の中で324コンボ達成したところでミスり、ゲーム画面を閉じた。

ケータイから顔を上げると友人の柊風那が南口から入ってきた。

「おはよー」

「やぁ」

彼女とは中学校からの友人。
空手二段の武闘派で、姉御肌だ。

風火には空手推薦で入ってきた。

「玲兎、今度の夏祭り行かん?中間テストの終わった後だしちょうどよくない?」

「おー良いねぇ、今結構金持ちなんだよね」

「あんた電気代とか大丈夫?」

「・・・」

痛いとこを突きやがる。
人がバイトを二つ掛け持ちして頑張ってんのに・・・。

「バイトばっかしてないで部活やりなよ」

「一応やってるよ・・・」

「廃部寸前、合気道部?」

「うるさい」

幼い頃から色々と武道はやってきたが、その中でも一番長続きしたのが合気道。
今では二段を持っている。

だがしかし。講師自体街に少ないらしくOBの先輩が見に来てくれる程度。

先輩は1人、1年は6人で私が副部長をやっている。

今のとこ夏の昇級審査に向けて練習してるけどその期にサボり、バイトで金を貯めようという魂胆である。

「良いじゃん。競争率少ないし」

「合気道て試合ないじゃん」

「そうだけどさー・・・」

「・・・まあいいや。でも仕送りしてもらってんだっけ?」

「まぁ一応」

電車が来る時間となりホームにつながる階段を降りながら話す。

と、よそ見をしながら歩いていたからか誰かにぶつかった。

「あ、すみません」

「いーえ」

ミュージックプレイヤーを聞きながら彼は笑顔で振り向く。

(また愛想良い人やな)

「・・・あの人、高校生だよね?」

「そうなの?」

「だってブレザー着てたし」

「そうだっけ?」

脳内で彼の姿を思い浮かべる。
確かにブレザー着てたな。

黒に近い紺のネクタイ・・・ってあれ?

「・・・風火の人?」

「だよね」

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