
情報無双と無双くん
第1章 #1
黒に近い紺のブレザー、青いネクタイとくれば風火である。
風火なのに学校イメージカラーは青である。
「風に火に青って何したいかわからない」
中学生時代の体育教師と英語教師がそう話していたのを思い出した。
「・・・今電車から降りたんだよね?」
「ですね」
「学校までは?」
「あと3駅程」
話しながら電車に乗り込み、スマホにイヤフォンを差し込む。
最近よく聞いている曲をタップしながら私は言った。
「おり間違え?」
「だったらそろそろ戻ってきても良いと思うけど」
「だよねー」
風那は座席を確保しながら同意を示す。
参考書を開きながら会話を続ける。
「サボり?」
新たな仮定を立ててみる。
しかしそれはあっけなく否定される
「だったら私達みたら慌てるでしょ」
「そっか」
電車の車窓から眺める景色が少しずつ田舎から街の風景に変わっていく。
田んぼの向こうにパチンコ屋の看板が小さく見えた。
景色を見ていると停車駅アナウンスが流れ、通勤ラッシュの人の波で溢れていく。
「うわー人増えてきた」
顔をしかめながら参考書をしまい、横においておいたスクバを膝に乗せる。
「やっぱ私達が住んでるとこって田舎だね」
「だろうね」
風那は空手推薦で遠方の風火に通っているため、祖母の家に住まわせてもらっている。
偶然にも私のアパートと近い。
人の波に流されながら、降りる駅が近いのを確認してドアの近くに立つ。
「次はーーー」
車内アナウンスが流れたと同時に電車から降りる。
住んでいる場所とは違った街の空気がそこにある。
ホームの階段へと私たちは歩みを進めた
