さよなら、またね。
第2章 蒼士side
もちろん、そんな理由で結婚した妻との生活が充実していたわけもなく・・・
年を追う毎に会話はなくなり、セックスも回数が減っていった。
親からは、『結婚』の代わりに『子供』の二文字を出され、心底辟易していた。
結婚3年目、妻が『外で働きたい』と言ってきた。
専業主婦だった妻が外で働けるなんて思わなかった。
俺から見て、妻はお世辞にもしっかりしているタイプの女じゃなかったから。
「お前を雇ってくれる会社があるならな」
そんな冷たい言葉を放った。
妻は意地になったのか、翌週、仕事を決めてきた。
そして、妻は半年後、家を出て行った。
妻の寝室からは、父親の欄が空白の母子手帳が残されていた。