さよなら、またね。
第3章 不似合いな感情
丸テーブルには落ち着いた様子の男性3人組。
カウンター席には、既に1人の男性が、奥から2つ目の席に座っていた。
私は男性とは一つ間を置いた席に腰を下ろし、ぼんやりしていた。
「初めまして。」
私の前に、シルバーのトレーに乗せられたおしぼりが静かに置かれる。
「お決まりですか?」
ニコリと微笑んだマスターに微笑み返すと、私は困り顔を見せ、
「困りました。心が空っぽで、何を飲んだら満たされるのかわからないんです。」
マスターは、「そう」と穏やかに応え、暫く考えたあと、棚に並んだボトルの一つを手に取り、器用にカクテルを作った。