さよなら、またね。
第3章 不似合いな感情
椅子から降りると、少し足元がフラつく。
男性が気付いてくれて、優しく支えてくれた。
「大丈夫?」
「あ、はい」
「ごめんね、強いのかと思って止めるの忘れてた。」
「いえ、私が飲みたかったから。止められても飲んでたかも。」
ふふっと2人で笑って、店を出た。
マスターに「また来ます」と伝えて、「待ってるよ。」の言葉に嬉しくなって、また笑った。
私は、駅までの道を送ってもらうことにした。
酔ってたからなのか、その道すがら、今日あった事を全部話した。
楽しそうに笑いながら話してたつもりなのに、話し終えるとポロポロと涙が溢れてきた。
「あれ・・・?ごめ、なさ・・・」
男性に背を向けて涙を拭っていると、後ろから右腕を掴まれてクルッと反転させられた。
「これだったら、他の男にも見られないだろ?」
男性の優しさに、また泣いた。