さよなら、またね。
第3章 不似合いな感情
ー蒼士sideー
彼女がBARからの帰り道に話した事は、思ったより衝撃的だった。
夫の浮気、愛人の妊娠、両親との事。
それらは俺にも重なる所があったから。
ときに笑いながら話している彼女の横顔は見るのも辛い程傷ついていて、それでも気丈に振る舞う強い女だと思った。
でも、一通り話しが終わると、彼女の瞳から大粒の涙が零れていた。
涙を見られないように背を向ける彼女の細い肩が、小さく震えていて・・・「守ってあげたい」と思った。
自分でも驚くくらいの速さで、彼女を抱き寄せていた。