さよなら、またね。
第1章 澪side
私の求めた安定を、彼も望んでいるものだと勝手に思っていた。
半年前、いつも通りに家を出た彼は、一週間帰って来なかった。
商社勤めの彼は、海外出張も時折あり、今回もそうだろうと思っていたけど、全く連絡がないことに不安になって携帯に電話した。
だけど、携帯の電源は入っていなかった。
焦って会社に連絡すると、『一週間、有給休暇を取られています。』そんな事務的な返答だった。
私はなにも聞いていなかった。
一週間後、出勤したときと同じスーツで帰宅した彼は、私に離婚を申し出た。