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さよなら、またね。

第5章 夢から醒めたら




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昼休み。



私と蒼士はひと気のない非常階段にいた。



お互いに、「やっちまった顔」で。



朝の出来事はどうにか誤魔化してみたが、ふたりの間で起こった事実は誤魔化せない。


あの夜のことは全部覚えてるから。


「君、秋山って言ってなかった?」


ぼやぼやと考え込んでいると、蒼士が質問してきた。


「あ...離婚...したから。元夫の苗字が古澤で...」


「そっか、秋山であってたのか。じゃぁ許す。」


「へっ?」


「俺と、新しい澪で出会ったから許す。」


それはそれは爽やかな微笑み付きで、さらっとS発言。


そう、彼のは、【やっちまった顔】じゃなくて、


苗字・秋山って名乗っといて、古澤とは一体何の冗談?あれ?騙されてたの?あんなにあっつい夜を過ごしていた相手に!?うわー、なんか複雑。


っていう、複雑な表情だったらしい。


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