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さよなら、またね。

第5章 夢から醒めたら



「あの...」


「ん?」


蚊の鳴くような声でやっと発した声に、蒼士が優しい声で応える。


「あの、この前のこと...」


「あの夜のこと?」


この前。
そう言った私の濁すような言葉に
あの夜、
そう言って逃げ道を塞ぐ蒼士。


思い返すと、あの夜だって逃げ道を塞がれていたような気がする。
この人は、元々ドSなのかもしれない。
柔らかな物腰で優しい笑顔を貼り付けた悪魔。

きっと...
いや、間違いなくそうだ。


「あれ、忘れて、くだ、さい・・・」


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