さよなら、またね。
第5章 夢から醒めたら
「蒼士......」
眼を閉じる寸前で彼の名前を呼ぶと、蒼士は一瞬静止した。
そんな彼の首に腕を伸ばし、後頭部を鷲掴んで無理やり下を向かせると
「えっ!?」と意表を突かれた蒼士の軽く開いた唇に自分のそれを重ねた。
「んっ!!」
蒼士は苦しそうな吐息を漏らしたけど、すぐに私の腰に腕を回して、身体を密着させる。
くちゅっ...
舌を絡ませたふたりの水音が真昼間のオフィスビルの間で卑猥に響くと、身体の内側から熱が込み上げてくるのがわかった。
「ふぅっ...ん...そぉ、しぃ…」
「み、お…」
こんな風にまた、お互いの名前を甘ったるく呼び合う日が来るなんて思わなかった。
まだ何日も経ってないのに。
官能で崩れかけた足元を支えるように、脚の間に蒼士の膝が差し込まれ、壁に押し付けられてキスの深さを増していく。
苦しさに顔を背けると、乱暴に元に戻されて噛み付くようなキスを繰り返した。