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さよなら、またね。

第1章 澪side



彼の告白から離婚届を出すまでに半年もかかったのは、やはり彼の律儀すぎる性格のせいなのか・・・


私の両親、彼の両親、両方に事の経緯を説明しに行っていたからだ。


彼の両親は、複雑な表情で彼の告白を聞いていた。
それもそうだろう。
離婚はするけど、彼はすぐに結婚して、孫まで産まれるのだから。

それでもひたすら、私に土下座までして謝る人達を恨む気にはならなかった。


ただ、私の両親は別だ。
不貞を働いた彼を簡単には許さず、弁護士を立てて彼と愛人から慰謝料を請求するように、なんて言ってきた。

正直、こうなった以上私も考えた。

でも、これから子供が産まれる彼。
愛人と子供の生活を支えていく彼に、高額な慰謝料を請求することは、私の良心が許さなかった。

情というものは厄介だ。


怒り狂う両親の説得をするのに半年。

彼だけに任せていたが、私もこの中途半端な生活に疲れていた。

だから、『もういいよ』と言った。



そして今日、離婚届を提出した。


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