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色にでにけり 恋

第13章 いつもそばに

もう1本の扇子には風になびく藤の花房と・・・・・・上出が詠んだ短歌。



「かぜかおる   きみたつおかの   ふじのもと  さやけきひとみに・・・。」



遥暉は短歌を読み上げ最後の句で顔を上げ、上出を見つめた。



「・・・とわ? えいえん?

 字数が合わない。どうして・・・?」

「いい質問だな。」



上出はクスリと笑い遥暉を背中から抱え込むように座り、

扇の『永遠』の文字をなぞり遥暉の耳に囁いた。



「さやけきひとみに
   は・る・か(遥)
     うつらむ、だ。」

「・・・・・・あっ。」




遥暉の耳が見事に赤く染まった。




「・・・ハルキ、

どんな新緑や藤の花が景色を彩っても、

俺の目にはお前しか映らない、

永遠に・・・だ。」






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