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色にでにけり 恋

第2章 ’にほふひと’

土曜の朝


今日も遥暉は上出の部屋へ遊びに来ていた。


遊びに来ると言っても、もっぱら勉強をしている時間が大半で、今も古典の課題をすると言って古語辞典と首っ引きになっている。



中間テスト明けの週末とはいえ、お互い県下でトップを争う進学校に在学する以上、遊んでばかりもいられない。



上出が勉強机に向かって世界史のノートをまとめていると、

背後で遥暉が何かに根を上げたようにカーペットに転がった。


「はあぁ~ぁ、もう駄目」

「何書いているンだ?」

「えっと・・・・古典の宿題で枕詞を調べて、それを使って短歌を作れと言うので・・・・・・」



男子学生がそんな課題を真面目にやるとは思えない。


しかし遥暉は根が真面目で、こういった風流な事が好きだし、何より似合う。



自分の勉強机から離れ、遥暉の隣に座って覗いたノート。


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