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色にでにけり 恋

第2章 ’にほふひと’

上出の香りが鼻をくすぐり、優しく唇が触れた。


柔らかいキスが遥暉の心を裸にしていくように、何度も繰り返される。





遥暉は勉強机に座る上出の背中を見ながら、毎日薄暗い藤棚の下に立ち自分を待つ上出を思って最後の一句を書いた。


真剣に勉強している上出に対して、自分の不純さを打ち消すように「もう駄目」と口に出してしまった遥暉。


まるで構って欲しくて催促したように聞こえたのではないかと、今更ながら恥ずかしさが込み上げてくる。




しかし徐々に深くなるキスにあっという間に捕らわれ、
ガクリと力が抜け上出に支えられるように抱き締められる。


上出の胸にしがみ付いて恍惚とした表情を浮かべている遥暉。


上気した頬から首筋がやけに色っぽくみえ、上出は慌てて目を逸らした。


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