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色にでにけり 恋

第3章 障壁

「鼻歌でも歌いそうな感じね、上出君」


図書室の帰りに渡り廊下で水泳部のマネージャーに声を掛けられた。


「よお、五嶋。水泳部の勧誘ならお断りだぞ」

「いいじゃない、入部しろとは言わないから、時々でいいから練習見てよ」

「そうだなぁ、考えとくよ」


上出は遥暉と過ごす時間を削られたくないので、生返事で誤魔化した。

「浮かれてるみたいだけど、まさかデートが忙しい訳じゃないでしょ」

「だったらどうする?」


遥暉の顔を思い浮かべ、デートという言葉が擽ったく感じた。

自然と口元が綻んだ上出に水泳部マネージャーは冷たく畳みかける。


「どうせすぐ振られるんだから・・・、明日はどう?」



五嶋マネージャーの不吉な一言に、上出はムッとして答えた。


「なら、尚更お断りだ」



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