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色にでにけり 恋

第3章 障壁

「遥暉の通学の件では家族でかなり揉めたんだ。」

「揉めた?」

「ああ、藤蔭学園に通学するなら遥暉の実家である犬養家へ戻ったら便利だろう。」


犬養家は遥暉の生家のことで、市内の山の手に馬鹿でかい屋敷がある。


今は遥暉や聡の祖母と使用人の何人か住んでいる。


上出は、その辺りの事情も遥暉から聞いて知っていて、聡はそんな上出にはかなり立ち入った話もオープンに話しているのだ。


「そうですね。市内、地下鉄乗り継ぎなしですし。」

「そう。でも遥暉が了解しなくてね。

時間のことだけ考えれば、犬養邸がいいよな。

だけど、遥暉はなんとしてもウチから通学をしたい理由があった・・・?」



上出は、遥暉が上出と電車通学するために、由美が協力したことを遥暉から聞いていた。


上出は聡の視点を変えさせようと言葉を選んだ。



「単純に丸山家の居心地がいいからじゃないんですか。」




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