色にでにけり 恋
第3章 障壁
遥暉は病院や学校を経営する犬養家に長男として生まれた。
両親を早くに亡くしたため、分家筋の親戚に預けられ4人兄弟の3男として育った。
だから犬養家の統首として、丸山の家から犬養へ戻る日が遠からずやってくる。
それが、成人の時なのか、進学の機会なのか。
それを遥暉の意思で決められるものなのか。
上出には想像もつかない世界だ。
ただ、GWの晩に犬養邸の風呂の中で自分の境遇を泰弘や圭一に話していた遥暉が呟いた、
「生まれた時から犬養を背負わされています。」
という言葉が、上出の心にひどく印象に残っていた。
一族の長としての責任と義務を一身に背負い、
一人立っている遥暉の孤独を否応なく感じさせる一言だった。
両親を早くに亡くしたため、分家筋の親戚に預けられ4人兄弟の3男として育った。
だから犬養家の統首として、丸山の家から犬養へ戻る日が遠からずやってくる。
それが、成人の時なのか、進学の機会なのか。
それを遥暉の意思で決められるものなのか。
上出には想像もつかない世界だ。
ただ、GWの晩に犬養邸の風呂の中で自分の境遇を泰弘や圭一に話していた遥暉が呟いた、
「生まれた時から犬養を背負わされています。」
という言葉が、上出の心にひどく印象に残っていた。
一族の長としての責任と義務を一身に背負い、
一人立っている遥暉の孤独を否応なく感じさせる一言だった。