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色にでにけり 恋

第4章 宣戦布告

相手はまっすぐ上出をみて一気に捲し立てた。


「丸山を水泳部に勧誘しているが、応えてくれないんだ。

丸山に水泳部に入るように頼んでくれないか。

いや、お前が、また水泳部に入れよ。

お前が水泳を始めれば丸山も始めるはずだから。」


--わけのわからん事を言う奴だ。


「本人がやりたくないと言うなら、やりたくないんだろう。

俺も遥暉も踏ん切りついているから、もうレースには興味無いんだ。」


確かに思春期的な事情で、ヘトヘトになりたい時には我武者羅に泳ぎたいこともある。


でも今は遥暉を守れる力があれば、記録などはどうでもいい。


今年も、月陵の水泳部にも勧誘されたが入部はしなかった。


部員たちの士気向上のためにゲストとして練習に時々参加することはあっても入部する気は全くない。


今の上出にとって大切なのは、次なる遥暉の目標となるべく準備をする事。


多分、家業を継ぐために遥暉も目指すであろう医学部という進路に、上出は一歩先を歩んでいなければならない。


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