
色にでにけり 恋
第4章 宣戦布告
「・・・・・・。」
「何、黙ってんだよ。」
上出は無言で保坂を睨んでいた。
「上出君、大丈夫か?」
「なんでもありません。」
聡は上出のこぶしが震えていることに気が付き声をかける。
「上出、勝負しろ!
お前が勝ったら丸山は諦める。
俺が勝ったら丸山は俺が自由にしていいってことだ。」
「君、何勝手なことを言っているんだ。」
「オッサンは黙ってろ!」
聡は喚いている藤蔭生を窘めようとして、反対になじられた事で真っ赤になって叫んだ。
「僕は、オッサンじゃない。遥暉の兄だ!」
「・・・・・・。」
どうでもいい事でにらみ合う二人を無視して、上出はその場を去った。
