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色にでにけり 恋

第1章 学校へ行こう

上出が遥暉の登下校の付き添いを始めたばかりの頃は、

満員電車の中で遥暉が発作で身動きが取れない状態になったらフォローしなければならない

と気遣かった。


しかし2月目になると、

それ以外のことに神経を遣わなければならない

とわかってきた。


「先輩・・・・・・」


満員の地下鉄の中、遥暉が困った顔で上出を見上げる。


――早速来たか


周囲より頭一つ抜きん出た上出は遥暉の周囲を見渡す。


遥暉の背後に立つサラリーマンの手が、

胸の前で鞄を抱えている遥暉と鞄の間に突っ込まれているのが見えた。


しかも遥暉の腰が正面に立つ上出の方へ逃げている。


「――ッ!!」

「おっさん、いい歳して何してんの?」


遥暉の胸にある痴漢の手をつかむ。


掴まれた方は、顔を挙げない。


――これで決まり、あんたやっぱり痴漢していたね。


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