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色にでにけり 恋

第7章 恋文

上出からほのかに塩素の香りが漂った。


「今週も帰りが遅くなるから、テスト期間中みたいに俺の事は待たずに、できるだけ岡田さんと下校できる日は一緒に帰れ」


「・・・はい」


上出は遥暉の手を取って1枚の紙片を握らせる。


遥暉が開こうとするのをとめた。


「家に帰ってから読め」


「あの、これは・・・?」


「烏羽玉の返歌」


「え・・・」


遥暉は驚いて上出の顔を見た。


たった一度、ほんの一瞬、チラリと見た短歌を、恐らく遥暉から上出への恋文であろうと察してくれた上出。


「ラブレターなんて生れてはじめて書いたよ」


照れくさそうに笑い「また明日な」とマンションのエントランスに消えていった。





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